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PSA10率51.3%は何を数えた値か モダンとヴィンテージの間の20年はどちらにも入らない

ポケモンカードの価格と鑑定データを扱う PokeInvest は、無料ページ「gem-rates」で、PSA が鑑定したポケモンカード全体の PSA10 率(同ページの呼び方では gem rate)を公表しています。2026年10月24日に取得した時点の表示(ページ上の更新日は2026年10月23日)では、集計対象は31,273,343枚、全体の PSA10 率は51.3%でした。あわせて「モダン」61.3%、「ヴィンテージ」13.7%という2つの数字も出ています。

この3つの数字は見出しとして並んでいますが、数えている範囲はそれぞれ違います。この記事では、それぞれがどの範囲のカードを数えた値か、同じページの一覧からカード単位で何が見えるか、SAYA や GemRate の数字と並べるときに何に気をつけるかを整理します。

4つの見出しの数字

取得時点で表示されていた値は次のとおりです。

表示名値範囲
Graded cards tracked31,273,343枚PokeInvest が取り込んでいるポケモンカード全体
Overall PSA 10 rate51.3%同上
Modern gem rate61.3%2023年以降のカード
Vintage gem rate13.7%2003年より前のカード

gem rate の定義は、ページの説明では「そのカードの鑑定済みの枚数のうち、PSA10 で返ってきた割合」、算出方法の欄では「PSA10 の枚数 ÷ 鑑定された総数(カードとバリエーションごと)」です。数字の元は PSA が公表している POP(鑑定個体数)のデータで、PokeInvest が取り込んだ最新の時点の値だと書かれています。PSA 自身が発表した「全体の PSA10 率」ではありません。

51.3% を31,273,343枚に掛けると、PSA10 はおよそ1,600万枚になります(51.3%は小数1桁に丸めた表示なので、幅を持った概算です)。

51.3%・61.3%・13.7%は同じ物差しの上にない

まず押さえておきたいのは、モダンとヴィンテージを足しても全体にならない点です。ページの定義では、モダンは2023年以降、ヴィンテージは2003年より前です。ページの定義どおりに読むと、2003年から2022年までの20年分は、どちらにも入りません。この期間の PSA10 率や枚数は、ページに出ていません。

そのため、51.3% を「モダンとヴィンテージの平均」と読むことはできません。全体の値は、2003〜2022年のカードも含めた31,273,343枚の比率です。モダン・ヴィンテージ・その間の3つの区分がそれぞれ何枚あるかが分からないので、全体の51.3%がどの区分に引っ張られた値なのかも、このページだけでは決められません。

また、分母の「鑑定された総数」に、等級が付かない Authentic などの扱いがどう入っているかは、ページに書かれていません。SAYA の言えること・言えないことの記事では、等級の内訳(10、9、8以下、Authentic)をすべて足した枚数を分母にしていますが、PokeInvest の分母が同じ作りかどうかは確かめられませんでした。

ページ自身も、全体の数字ではなく、そのカードが属する時代の値と比べるよう書いています。ただ、上のとおり時代の区切りは2つしかなく、間の20年分は比べる相手がありません。

同じページの中に95.76%と0.08%がある

ページには、鑑定数が1,000枚以上のカードに絞ったPSA10 になりにくい側の25枚(The hardest cards to gem)と、なりやすい側の25枚(The easiest cards to gem)の一覧があります。両端の例は次のとおりです。

区分カードセット表記鑑定数PSA10率
しやすい1位Mega Rayquaza ex #110Japanese Storm Emeralda2,5022,39695.76%
しやすい2位Mega Darkrai ex #114Japanese Abyss Eye11,76811,16394.86%
しやすい6位Meowth ex #114Japanese Nihil Zero8,1057,63794.23%
しにくい1位Rayquaza C LV.X #DP47Promo1,30810.08%
しにくい2位Typhlosion #17Neo Genesis4,35340.09%
しにくい4位Lugia #9Neo Genesis12,665150.12%

しやすい側の25枚は、セット表記がすべて「Japanese」で始まります。ページも「最近の日本版は90%を超えることが多い」と書いています。しにくい側は、Neo や Jungle、Base Set 2 などの古いセットのほか、DP や XY のプロモ、Double Crisis も入っていて、ヴィンテージの区切り(2003年より前)に収まらないカードも並んでいます。

この幅を見ると、51.3% という全体の値は、どのカードにもあてはまる「平均的な確率」としては使えないことが分かります。同じポケモンカードの PSA 鑑定でも、カードによって0.08%から95.76%まで開いていて、全体の値はそれを1つに混ぜた結果です。なお、なりやすい側の一覧には2023年より前の日本版(2019〜2022年のセットなど)も含まれていて、90%台がモダンだけのものではありません。

もう1つ、表の中に「#114」が2枚あります。Mega Darkrai ex(Abyss Eye)と Meowth ex(Nihil Zero)は、カード番号が同じでもセットが違う別のカードです。ページの算出方法も「カードとバリエーションごと」に数えると書いています。カードの PSA10 率を調べるときは、名前と番号だけでなく、セットや言語まで一致しているかを確かめる必要があります。

別の集計と数字を混ぜない

PSA10 率の数字は、集める人によって範囲が変わります。PokeInvest の51.3% は「PokeInvest が取り込んでいるポケモンカード全体」の比率です。10月1日時点の記録で SAYA が PSA の鑑定記録と結びつけていたカード4,299枚をまとめて割った値は79.73%で、こちらは範囲がまったく違います(言えること・言えないことの記事)。

GemRate のページにも gem rate という同じ名前の数字が出ますが、GemRate の鑑定数の読み方の記事 で書いたとおり、何を数えた値かはページごとに違います。PokeInvest・GemRate・SAYA の数字は、元をたどればどれも PSA の公表データですが、取り込みの時点、対象のカードの範囲、分母の作り方がそろっていません。「全体は51%、SAYA の対象は80%」のように並べて差を読んだり、片方の数字をもう片方に当てはめたりはできません。

PSA 以外の鑑定会社を含めると、話はさらに変わります。鑑定会社ごとの数え方の違いは 4つの鑑定会社の記事 にまとめています。

カード単位で見るには

51.3% が「全体」の数字であるのに対し、SAYA で見られるのはカードごとの数字です。

PSA10 率が示すのは、そのカードで10が付いた割合です。

確度の区分

  • 確定: PokeInvest「gem-rates」ページの表示(31,273,343枚、全体51.3%、モダン61.3%、ヴィンテージ13.7%、ページ上の更新日2026年10月23日)
  • 確定: 同ページの定義(gem rate=PSA10 の枚数÷鑑定された総数、カードとバリエーションごと/モダン=2023年以降、ヴィンテージ=2003年より前/元は PSA の公表 POP データを PokeInvest が取り込んだもの/一覧は鑑定数1,000枚以上)
  • 確定: 同ページの一覧の値(上の表の6枚の鑑定数・PSA10・率)
  • 計算: PSA10 がおよそ1,600万枚(31,273,343枚×51.3%、丸めの幅を含めて約1,603万〜1,606万枚)
  • 未確認: 2003〜2022年のカードの枚数と PSA10 率、3つの区分それぞれの枚数
  • 未確認: 分母の「鑑定された総数」に Authentic などの等級なしの鑑定が含まれるか
  • 未確認: PokeInvest が PSA の POP データを取り込んだ具体的な日時と、取り込みに漏れているカードの有無

出典

  • PokeInvest「Pokemon Card PSA 10 Gem Rates」(gem-rates ページ、FAQ と Methodology の欄を含む)、pokeinvest.io、2026年10月24日取得
  • SAYA Terminal「PSA の鑑定記録4,299枚で言えること、言えない5つのこと」、2026年10月10日