対日の追加関税12.5%は MFN 税率との合計で調整される規定 官報の告示で確認
米国が2026年7月24日に発効させた Section 301 の追加関税は、「対日12.5%」と短く言うと、品目ごとの違いが見えなくなります。2026年7月28日に米国の官報(Federal Register)に掲載された告示(文書番号 2026-15181、91 FR 47318)の日本の項目を読むと、規定は「MFN 税率と Section 301 の税率の合計が12.5%になるようにする。ただし MFN 税率が12.5%以上なら Section 301 の税率は0」というものです。
この告示は、強制労働で作られた物品の輸入を禁止する制度を各経済が設け、実効的に執行しているかを巡る Section 301 調査の措置をまとめたものです。この記事では、2026年10月2日に官報のページで読んだ日本の項目の規定を整理し、規定から計算できる例と、告示に出てくる税率の区分を示します。
告示が定めていること
日本の項目(告示の28番)には、日本の産品に対して "12.5 percent tariffs net of MFN"、つまり MFN 税率を含めて12.5%になるよう調整した関税を課す旨が書かれています。ただし、告示の附属書I、附属書IIのパートAに定められた場合は除く、と書かれています。例外を除いた規定の中身は、次の2つです。
- 日本の産品で MFN 税率が12.5%未満のものは、MFN 税率と Section 301 の税率の合計が12.5%になる
- MFN 税率が12.5%以上のものは、Section 301 の税率は0になる
適用の時点は、2026年7月24日の午前0時01分(米国東部時間)以降に、消費のために輸入申告された物品、または保税倉庫から消費のために引き取られた物品です。2026年7月24日の午前0時01分(米国東部時間)より前に積載港で船に積まれ、最終の輸送手段で輸送中だった物品については、例外の規定があります。官報の適用日の項には、このような物品のうち、2026年7月28日の午前0時01分(米国東部時間)より前に輸入申告または保税倉庫からの引取が行われたものは、追加関税の対象外と読める記載があります。MFN 税率とは、最恵国待遇にもとづく通常の関税率のことです。
附属書の中身(どの物品が除かれるか)は、この記事では読んでいません。官報の本文ページでは附属書の表の中身が表示されていませんでした。
MFN 税率ごとの具体例
規定から、MFN 税率ごとの Section 301 の税率と合計を計算しました。附属書などの例外は含めていません。MFN 税率は従価(価額に対する率)のものとして扱っています。
| MFN 税率 | Section 301 の税率 | 合計 |
|---|---|---|
| 0% | 12.5% | 12.5% |
| 5% | 7.5% | 12.5% |
| 10% | 2.5% | 12.5% |
| 12.5% | 0% | 12.5% |
| 15% | 0% | 15% |
Section 301 の税率が0を超えるのは、MFN 税率が12.5%未満のときだけです。MFN 税率が12.5%以上の品目では、Section 301 は0なので、合計は MFN 税率のままです。逆に、MFN 税率が0%の品目では、Section 301 の12.5%が、そのまま上乗せになります。
トレーディングカードの場合
公式の関税表以外の資料では、トレーディングカードを含む遊戯用カードは、米国の関税分類(HTSUS)の9504.40に当たり、MFN 税率は無税(Free)とされています。この記事では、公式の関税表で確かめていません。米国税関(CBP)の裁決 N359352 がポケモンカードを9504.40としているとする第三者の要約もありますが、公式の裁決文は取得できていません。
この分類がポケモンカードに実際に適用され、附属書などの例外にも当たらないなら、規定にもとづいて Section 301 の12.5%が上乗せされることになります。ただし、分類も、例外に当たるかも、この記事では確認できていないため、未確認として扱います。
告示に出てくる税率の区分
告示には、経済ごとに2つの水準が書かれています。すでに禁止を設けている経済、協定(ART、互恵貿易協定)で禁止を約束した経済、部分的な制度を設けた経済には、10%が適切な率とされ、一部の経済は MFN 税率との合計で10%です。それ以外の経済には12.5%が適切な率とされ、一部の経済は MFN 税率との合計で12.5%です。日本は、MFN 税率との合計で12.5%の側に書かれています。同じ書き方の対象には、日本のほかに韓国とスイスの名前が挙がっています。
つまり、10%は、告示では別の経済に適用される率です。日本に適用される率は、告示の規定では12.5%(MFN 税率との合計)で、10%ではありません。
価格の比較に使うときの注意
12.5%は、課税の対象となる価額に対する率です。課税価額が1,000ドルなら125ドル、4,000ドルなら500ドル、10,000ドルなら1,250ドルになります。課税価額の決め方、少額免税の扱い、どの物品が日本の項目の対象になるか(原産国の判定)は、この記事では扱っていません。
日米の価格差を試算するときは、使う関税率の出どころを書いておくと、後から数字を見直せます。同じ「対日の追加関税」でも、MFN 税率が0%の品目と12.5%以上の品目とでは、Section 301 の上乗せが12.5%と0%に分かれ、1,000ドルあたり125ドルの差になるためです。
確度の区分
- 確定: 日本の項目の規定(MFN との合計が12.5%、MFN が12.5%以上なら Section 301 は0、附属書に定める場合は除く)、適用の時点、告示に出てくる税率の区分は、官報の告示の本文の記載
- 計算: 具体例の表と、課税価額ごとの金額は、規定から本稿が計算した値
- 二次情報: トレーディングカードが9504.40に当たり MFN 税率が無税という点(本稿は一次で確かめていない)
- 未確認: 附属書の中身、附属書以外の除外(告示の関税表改正文に、Section 232 の対象物品、個人使用の携行品などの除外が書かれているが、細目は読んでいない)、MFN 税率が従量税・複合税の品目の従価への換算、ポケモンカードの関税分類(CBP の裁決文は未取得)、課税価額の決め方、原産国の判定